私は某国立大学医学部卒で、初期研修医2年やって、出身大学の皮膚科医局に入局、数年いろんな研修病院で研鑽を積んで、大学院進学となりました。
いわゆるキャリアパスとして、”何年か医者を経験してから大学院進学”というのは、医師としてよくあるパターンです。
しかし、大きく9つのハードルがあります。
1つ目のハードル:どこの大学で大学院生として研究をするか?
私はすでに入局していたので、その大学でお世話になるのがセオリーですし、特に悩みませんでした。”院に行きたいです”と医局長にメールすると、”えーよ。がんばれー!”という内容の返事が返ってきて交渉終了。勤務先の部長には7月初旬に報告しました。ただ、人によっては、自分のやりたい研究内容から他大学の研究室に見学に行って決めることもあるようです。
2つ目のハードル:願書取り寄せ。
大学の教務係に取りに行くか、郵送で取り寄せ依頼をします。これが仕事しながらだと面倒ですが、やればすぐに終わるので頑張りましょう。
3つ目のハードル:願書の作成。特に志望動機。
願書が届いたら、必要事項を確認しましょう。大学によって様式は異なりますが、証明写真は何枚か必要ですね。私の場合は”志望動機を800字以内で作文”するとかありました。これが手書きなんですよね。私の時はちょうど教授が変わるタイミングで、新しい教授が決まる前にこれを書く必要がありました。なので、薄っぺらい内容しか書けなかったのですが、仕方ないです。どこまで読み込まれているのかは分かりませんが、体裁の整った文章にしないと恥ずかしいです。
4つ目のハードル:面接。
入学試験より先に、事前に指導教官との面接があります。私は教授不在だったので、別の診療科の教授がかわりに形だけやってくれました。なので終始雑談で終わりました。本来はやりたい研究内容などの相談になると思います。もちろんスーツで行きます。
5つ目のハードル:試験勉強。
受けたらほぼ受かると言われているものの、それは皆さん優秀だからであって、1~2割ほどの人は落ちます。私の場合は英語の小論文を読んで、設問に日本語で答えるというものでした。辞書の持ち込み可でしたが、いちいち辞書を引いている時間もなく、調べたところで載っている単語でもなく、という感じです。英語の医学系の論文を日常的に読むことが一番の対策です。設問を先に読んで、答えになりそうなところの英文だけしっかり読み込んで・・・というようにしても、”とりあえず見直しする時間があって良かったー”というぐらいでした。
6つ目のハードル:当日の持ち物の準備。
受験票などはもちろん簡単に準備できますが、しばらく試験というものを受けていないので、失念していることがあります。鉛筆と消しゴムと鉛筆削りです。大学病院で勤務中の医師は、勤務のあいまに白衣姿で受験しに来るのですが、”ボールペンしかない!”という感じでした。私は前日の夜に気づいて、なんとか家の中から鉛筆・消しゴム・鉛筆削りを探し当てることができました。
7つ目のハードル:入学試験。
同じぐらいの学年で大学院進学をするので、医学部生時代の同級生や先輩後輩に久しぶりに会えて、まるで同窓会のようでした。和気あいあいと試験前は過ごせるのですが、試験が久しぶりすぎて変な緊張をします。そして、医局の先生にも院試を受けることを公言しているので、落ちたら恥ずかしいです。失敗できない緊張感がやばいです。いざ始まると、さすが医者になっている人が多い試験会場。カタカタカタカタ鉛筆の音が響きます。試験後は、友人たちと”難しかったー”だの、”たぶんこれが答えかなー”とか確認しあいます。そして、各々自分の勤務に戻ります。私は勤務先を1日お休みをいただいて試験を受けに行きました。
8つ目のハードル:合格発表後の合格手続。
願書より書類が多い。大学生協の手続きもあります。これが期限までにしないといけないので意外と大変です。しかも書類には、”保護者欄”があります。”保護者って誰?????”って感じです。冒頭に記載しましたように、医者の場合は、卒後数年たってから進学するので、結婚している人も多いのです。私は連絡先だけ実の父母のものを書いて、郵送先はすべて私の自宅にしました。
9つ目のハードル:研究内容の相談。
翌4月1日から大学院生としての生活が始まるので、どの指導医のもとでやるのか、ざっくりどんな内容の研究をするのか、教授ともっと詰めた話をする必要があります。私の場合は、”ここの研究室に行ってみる??”って言われて、私はあまり深く考えずに、”はい、やってみたいです”と言って終わりました。そして、派遣先の研究室の教授とメールで連絡を取り合って、4月1日から大学院生生活がスタートしました。
私は”試験勉強どうしよう・・・”ということばかり気にしていましたが、こんなにたくさんハードルがありました!(汗)
9つ挙げましたが、一番重要なのは、研究室の選定と、研究内容をしっかり詰めることです。教授と院生の間でミスマッチが起こりやすいので要注意です。
なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。
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