私は某国立大学医学部卒で、初期研修医2年やって、出身大学の皮膚科医局に入局、数年いろんな研修病院で研鑽を積んで、大学院進学となりました。
いわゆるキャリアパスとして、”何年か医者を経験してから大学院進学”というのは、医師としてよくあるパターンです。
勤務医から大学院生になると、比較的、経済的に余裕のある生活から、転落するイメージです。私の場合は、大学院入学直前の確定申告の給与収入から4割ほどに落ち込みました。それでも一応贅沢さえしなければ生きていけるレベルなんで、まだ恵まれているなぁとは思います。
産休期間もあったので、働けない時期もあったのも原因ではありますが、それにしても減りましたね。びっくりするくらい貯金が増えない時期がありました。
勤務医時代にはあまり気にしていなかった税金などについて、1つ1つ見ていきます。
1.国民健康保険料
非常勤勤務となるため、勤務先病院で健康保険には入れません。国民健康保険のペラペラの紙の保険証になります。4月の初めに自治体の役所で、国民健康保険加入の手続きをします。これは前年の収入に応じて、支払額が決まります。医者で大学院生になった場合、1年目は上限額の80万円近くを自分で納めることになります。確定申告に基づき、毎年6月に支払額が決まると、自宅に”支払額通知の封筒”が届きます。私の自治体は口座引き落としを採用しているので、6月末~10ヶ月間にわたって、自動的に引き落とされます。当時は、”まるで家賃か!!(怒)”っていう月額でした。
もちろん、勤務医以外の医師向けの全国医師国民健康保険組合連合会(いわゆる医師保険)もありますが、これは自分の勤務先では受診できません。やや不便を感じたのでやめました。
2.都道府県民税・市町村税
勤務医時代は給与から天引きされていたものです。確定申告後の6月に、納税額が決まると”納税通知書の封筒”が届きます。たいがい数十万円になります。私は一括してPay-easyで支払っています。分割でも払えますが、支払期限を過ぎると数円の追加徴税されますので、ご注意ください。
”普通徴収”と、”特別徴収からの組み換え分(主な勤務先でも給与からの天引きをしない場合)”の2回、納税通知書が届きます。特別徴収とは、事業主が給与から天引きすべき税金なのですが、特殊な事情(給与が少ないなど)があれば、事業主が特別徴収は行わず”普通徴収に組み換えられる”制度のようです。この組み換え分の納税通知書は7月に届きます。役所がミスってるわけではありませんので、2回届いても驚かないようにしてくださいね。
3.確定申告での追加徴税
おそらく、勤務医時代もバイト収入が20万円を超えている人が多いので、確定申告は身近なのではないでしょうか? 1月~3月は確定申告の季節です。大学院生の間は、週1の非常勤勤務先が2~3個はあるので、基本的に確定申告をすると追加徴税になります。ただ、社会保険やふるさと納税などを控除すると、数万円返ってくることもあります。扶養する家族がある人はさらに返ってくると思いますが、ここは各自しっかり勉強してください。とにかく追加徴税を免れるために、控除額を増やすのがポイントです。
4.入学金、前期・後期の授業料
国公立なら、入学金と1年間の授業料で合計60万円近くになります。私は、学部の出身大学に大学院生として入学したのですが、それでも入学金が必要でした。学生証は新しくもらえました。ただ、大学のポータルサイトのログインIDは学部生時代のものを引き続き使うようにとのことでした。授業料という名目ですが、医学系の博士課程の場合は、特に授業らしい授業はありません。”ラボの最新設備を使って研究手技を教えていただく”料金と思うしかありません。
5.通学交通費
もちろん支給されません。学割はききますので、大学の教務係で通学定期証明書をもらってください。外勤先も、交通費込みの給与が提示されることが多いです。車通勤/通学の方は関係ないかもしれませんが。
6.まとめ
以上、見てきましたように、実際は、”天引きじゃなくなる”だけの項目も多いんです。ただ、納税通知書が家に届くと、”何かの間違えか??”なんて思ってしまいます。特に納税通知書が2回来たときは、”は??(怒)”と思って、めちゃくちゃネットで調べまくりました。天引きされる勤務医時代は、何も考えずに研修に専念できたなぁと改めて思います。医学部の授業で、お金関連について3コマくらい取り上げてくれる日が来ることを期待します。
とにかく、大学院生1年目は自分で支払うべきお金が一気に増えます。特に6月~7月は見た目に一気に貯金が減りますので、心づもりをしてください。
なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。
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