医者で大学院生になった場合|院生に対する健康診断の実態

健康診断 大学院生

こんにちは。

皮膚科Dr!ちびです。

今回は、大学院生になると勤務医の時とは異なり、かなり手薄な内容の健康診断になりました。不条理に思って色々調べてみたことについて、お話しします。

みなさんの勤務先ではどんな内容の健康診断ですか? 私は勤務医の時はそれなりに手厚い健康診断がありました。健康診断の最後にはDrによる内科診察も一応ありました。医者相手なので、健診Drもやや遠慮しがちの診察ではありますが…。

ところが、大学院生になると、”こんなんでいいの!?”という内容になったんです。

ちび
ちび

ちなみに、医者のキャリアとして、最短でも学部卒業24歳、初期研修医修了26歳、そこから専門の診療科で後期研修を3年やって29歳、その後に大学院生になる場合が多いんです。だいたい大学院生は30歳台なんですよね。

1.大学院生で医員の身分を有する学生について
2.労働者の健康診断項目
3.職員定期健康診断について
4.学生定期健康診断について
5.30歳台で学生定期健康診断の項目だけって意味があるのか?

1.大学院生で医員の身分を有する学生について(私の大学の場合)

大学院生とはいえ、働いているという点を一応考慮されています。勤務時間と年齢によって、どの健康診断を受検するのかが変わります。

〇週30時間未満勤務者のうち、35歳を除く40歳未満の者は、学生定期健康診断を受検。
〇週30時間未満勤務者の内、40歳以上または35歳の者、および週30時間以上勤務者は、職員定期健康診断を受検。

私は大学とは”週5時間勤務の契約”なので、学生定期健康診断の方になります。学生とはいえ、医学系の博士課程はもはや研究者と同じことをしているので、全員、職員定期健康診断でよいのでは? なぜこの乖離が生じるのかというと、”行政の縦割りの弊害”かもしれません。

2.労働者の健康診断項目

勤務医などの労働者の健康診断については、厚生労働省の管轄です。診断項目について、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署のポスターより抜粋してみました。

そして、省略が可能な項目については以下の通りです。

医師が必要でないと認めるときに診断項目を省略できる、という規定です。しかし、単純に年齢で区切ってデフォルトで健診項目にいれていない会社様も多いのではないでしょうか。私はいくつかの病院で勤務医をしていた時は、項目の省略は無くて、腹囲、採血、心電図は毎年ありました。

3.職員定期健康診断の項目(私の大学の場合)

今でも大学所属の教職員は、以下のような内容の健診を受けます。

既往歴及び業務歴の調査
自覚症状、他覚症状の有無の検査
身長・体重・腹囲の測定
胸部X線直接撮影
尿検査
血圧検査
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、腎機能検査、尿酸検査
聴力検査(35歳及び40歳以上)
心電図検査(35歳及び40歳以上)
★オプションで○○歳以上は、いくつか追加できたりします(自費)。

文部科学省の学校保健安全法施行規則に基づいていますが、これは上記の厚生労働省の内容とほぼ同等です。これくらいしてもらえると健康診断をしてもらったという気になります。

4.学生定期健康診断の項目

文部科学省の管轄です。学校保健安全法施行規則に則って学生定期健康診断をしているようです。

学校保健安全法施行規則より抜粋しました。学生定期健康診断の項目については以下の12個あります。

身長、体重及び座高
栄養状態
三 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
四 視力及び聴力
眼の疾病及び異常の有無
耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
結核の有無
九 心臓の疾病及び異常の有無
十 尿
十一 寄生虫卵の有無
十二 その他の疾病及び異常の有無

(注)大学においては第一号、第三号、第四号、第七号、第十号及び第十一号に掲げるもの(第一号にあつては、座高に限る。)を、それぞれ検査の項目から除くことができる。大学の全学生については、心電図検査を除くことができる。

というわけで上記の赤文字のものだけ調べればよいということです。

私の大学では、学生定期健康診断は、身長・体重・血圧・尿検査・問診(WEB回答)、胸部レントゲン検査(病院勤務のある人は必須)のみ。確かに事前のWEB問診の内容もかんがみると、上のリストの赤文字の項目は一応網羅しています。

ただ、その実態は、尿検査は事前にピーポールに入れて提出するだけ。自動測定の身長体重計に乗る。自動測定の血圧計に自分で腕を入れてスタートボタンも自分で押す問診は事前のWEB回答胸部レントゲンだけは技師さんが撮ってくれました。以上です。なんか、健康診断というか、ふら~と巡っただけという感じです。申し訳ありませんがやってもらった実感ゼロです。

5.30歳台で学生定期健康診断の項目だけって意味があるのか?

以上のように、健診の内容は勤務医の時と比較して結構な落差があります。36~39歳で院生の方もいるとは思うんですが、採血なしって…(絶句)。30代は若いからいいのか? 30代でも貧血とか肝酵素異常とかよくあるのに、って思います。特に貧血とかって健診で指摘されるものだと思うんです。

心配なら人間ドック(自費。助成なし。)でも受けろということでしょうか? それとも院生は若いうちのみということでしょうか? 同僚に適当に病名を付けてもらって、採血オーダーしてもらって(本当はダメ)自分で判断しろということでしょうか? 地元の自治体の健診を受けろということでしょうか?

なんか、健康診断も含めて大学院生の待遇って悲惨なものです。日々の研究や生活に追われて、意見する人がいないので改善されないんでしょうね。

ちび
ちび

大学生でも大学院生でも30歳以上の希望者には職員定期健康診断を受検できるようにしてほしいです。誰か改善をお願いします!!

なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。

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