蕁麻疹というのは特に原因がなくても出ます。そして急性の蕁麻疹は、治療なしでも自然におさまることが多いです。ただ、皮膚症状以外にも何か症状があれば、医療機関受診が望ましいです。
特に小さなお子さんをお持ちの方へのアドバイスになります!
1.翌日の診察でよいもの
蕁麻疹が何カ所かぽつぽつでるくらいで機嫌が良ければ様子見で良いと思います。痒いので、保冷剤をタオルにくるんで冷やしてあげるとかゆみがましになります。ムヒなどの市販の鎮痒外用薬を塗っても構いません。蕁麻疹にはまったく効果はありませんが、かゆみを感じにくくなります。急性蕁麻疹の多くは30分以内に消えていき、まず24時間以内には消失します。蕁麻疹の出た場所の写真をスマホなどで撮影しておき、翌日など、小児科や皮膚科の普通の診療時間に一度受診して、原因があるのかないのか、対処法をどうするか、相談してみてください。医者としては蕁麻疹発症時の写真があると非常にスムーズに診療できるので、助かります。
2.蕁麻疹の重症かもしれない症状
一般的に研修医の時に教わった、ヤバい兆候が以下のような画像のしぐさです。
息が苦しくて手をのど元にやります。”自然にこうやってしまうんだよー”っと教わりました。
それ以外にも一般的に、呼吸器症状として、息切れ、咳、鼻水、ヒューヒュー・ゼーゼーとした呼吸、腹部症状として強い腹痛、嘔吐、あとは血圧低下、意識消失、失禁などがあれば、重症の可能性があり、さっさと救急車を呼ぶか、近くの救急病院に駆け込んでください。
3.娘ちゃんの場合
具体的なエピソードは前回記事(アジで蕁麻疹が出た!)をご覧ください。
意思疎通ができるような年齢だと、自分の症状を言ってくれるので重症かどうかの判断がしやすいですね。”息が苦しい”、”おなかが痛い”、”のどがイガイガする”など。これを言ってくれるだけで医療機関を受診しようという気になります。
ただ、1歳7か月の娘ちゃんは、まだ喋れません。”美味しい”、”熱い”、”(電気が)ついた”、”(電気が)消えた”、”あっち”、”はい(どうぞ)”、”目”、”耳”、”足”、”ねんね”、”アイアイ(猿)”、”ケータイ(携帯)”くらいは言いますが…。喋れないなりに日常会話だと結構理解して行動してくれます。それでも、呼吸が苦しいかどうかは不明です。
そこで、親が分かる範囲で皮膚以外の娘ちゃんの症状を1つずつ検証していきます。
(a)咳。ありました。ただ、まだ食べ始めておよそ1年。噛んで飲み込むのはまだ初心者ですから、普通によくむせます。”それにしても、突然コンコン咳をしているなー”という感じでした。
(b)鼻水。これ、別に普段からよく鼻風邪ひくのでありがちです。乳児ではほぼ意味をなさない項目…(-_-;)。
(c)腹部症状。たぶんないです。少なくとも嘔吐はなかったので、大丈夫かなと。
(d)血圧低下。たぶんないです。写真を撮るときや保冷剤を当てた時に泣く元気はあったので。
(e)失禁。もはや判断不能です。大人だと救急外来をやっているときにアナフィラキシーを疑う重要な兆候なのですが…。娘ちゃんの2歳になる夏! トイレトレーニングし始めですが、まだトイレでできた試しはありません。園ではおまるでたまに成功するようですが…。なのでおむつしているし不明です。
ただ、娘ちゃんは、口周り~首にかけて蕁麻疹が多発したので、首に手を当てるんですよね。上記イラストのように。そして痒いので、機嫌が悪く、眉間にしわを寄せてるんですよね。もう焦る焦る。”水飲む?”と聞いたら首を横に振る。”苦しい?”と聞いてもとりあえず日本語が通じない。”パン食べる?”と聞いたら首を縦に振る。一口大に切ったパンの入ったお皿を手渡すと、バクバク食べる。しかし、不機嫌。
このように娘ちゃんの場合は、蕁麻疹が出た直後(昼食の途中…)にもお腹がすいていてパンを食べていたので、時間的に余裕はあるかとは思ったので、救急車ではなく、休日診療所へ向かったのです。
4.まとめ
体幹や四肢に蕁麻疹が出るだけだったら、”30分くらい様子見ようか…”ということで自然に蕁麻疹が引いて終了だったのですが、首をかきむしって、苦し気な雰囲気を醸し出されると、親としては”念のため医療機関へ!”と思ってしまいますね。親としての直感です。前回記事にも書きましたが、”こんなことで死なれてたまるか!”という精神です。診察時に全部皮疹が消えていたとしても、医者はあまり気にしていません。医者としても”消えていてよかったー”くらいなもんです。心配なら受診してくださいね。
”子どもの蕁麻疹が出た”と言って受診してくる方に対して、今までに増して優しく接しようと心に誓いました!
なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。
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