スピール膏で治すコツ|皮膚科医の立場から

スピール膏 お肌のトラブル

こんにちは。

皮膚科Dr!ちびです。

今回は皮膚科医らしく、鶏眼(読み方:けいがん、いわゆる”ウオノメ”)や胼胝(読み方:べんち、いわゆる”タコ”)に対するスピール膏の正しい使い方についてお話しします。

ウオノメ・タコが出来ると、放置したり自己流の処置をしたりする方も多いのではないでしょうか? 足の裏の特に体重のかかる部分(荷重部)に出来がちです。歩くときに痛くなって皮膚科を受診する方もそれなりにいます。”市販のスピール膏を試したけど、治らないから、病院でもっといい薬をもらおうと思って…”とやってくる方も一定数います。

ちび
ちび

そんな方達には、”ごめんなさい。それ以上の薬はないですね。上手に使うと結構よくなるらしいですよ。今日はとりあえず、硬くなっている場所を削りますね…。”といつもお話ししています。

1.鶏眼・胼胝とは
2.病院処方のスピール膏とは
3.ドラッグストアで買えるスピール膏とは
4.まとめ

1.鶏眼・胼胝とは

鶏眼も胼胝も、いずれも角質が増殖してしまった病気です。皮膚の内側に入り込んで増殖しているのが鶏眼、皮膚の外側に向かって増殖しているのが胼胝です。いずれにしろ治療方法としては、角質を除去します。皮膚科を受診すると、カミソリやメスなどで、肥厚した角質を切削します。

2.病院処方のスピール膏とは

スピール膏とは50%サリチル酸硬膏です。
日本薬局方サリチル酸絆創膏、フリーサイズ25cm2(4.1cm×6.2cm)となります。

正しい使い方は、病変の大きさより少し小さめに切って、絆創膏で固定、足が不潔にならないように入浴時に交換し、十分浸軟するまで数日続ける。生活指導としては、入浴後、白く軟化しているときに角質を剥離させる作業を日常的に行う。これをすれば、基本的に一旦改善します。ただし、足への機械的刺激(例えば靴が合わないなど)があれば、容易に再燃します。

とはいえ、病院用のスピール膏の袋に記載されている文言がイマイチです。

患部をきれいに洗ったあと、水分を拭きとり、よく乾燥させて下さい。
本剤を患部大(患部と同じ大きさ)に切って貼ります。
その上をズレないように絆創膏などでしっかりとめてください。
注意:本剤を患部より大きく貼らないでください。周りの健康な皮膚を傷めることがあります。

スピール膏(病院用)、外袋の記載より引用

”患部の大きさ”って、ちゃんと分かりますか?? 私は患部よりやや小さめに切って貼るように指示しています。特に子供は皮膚がもともと柔らかいので、周囲の健康な皮膚がふやけすぎて痛くなることがあります。ちゃんと説明していないと、再診時に”痛いから貼りたくない”とか言われます。”これ以外の薬をください”と言われることがあります。”上手に使ったらいい薬ですよー”と言うものの、一度嫌になった薬は皆さん使いたがりません。一発目で仕留めれるように、皮膚科の先生方、どうか、処方するだけではなく、使い方を丁寧に教えてあげてください。私はスピール膏が嫌な人や、幼児さんには、10%サリチル酸ワセリン軟膏を処方しています。50%から10%へ、一気に濃度が下がります。これくらいだと周囲の皮膚に刺激が及ぶことはほとんどなく、適度に柔らかくなります。

そして、スピール膏の外袋に”絆創膏などでしっかりとめるよう”に記載があるにもかかわらず、病院用のスピール膏には、絆創膏は付属していません。自分で購入する必要があります。日本の健康保険制度では自己負担1~3割で手に入るのですから、薬効成分のみしか処方できないのは一理あります。でも、患者さんからしたらちょっと不便ですね。

3.ドラッグストアで買えるスピール膏とは

さて、市販のスピール膏も同じニチバン株式会社から出ています。サリチル酸50%配合。添加物も病院用のものと同じです(製品の添付文書を参照)。個人的には第2類医薬品の、スピール膏TMフリーサイズ(定価:税別950円)がおススメです。いろんな患部サイズの商品ラインナップがありますが、やっぱり1つ1つの病変に対してぴったりしたサイズは自分で切って貼るのが一番です。

薬剤:41mm×62mm(25㎠) 3枚
保護用パッド:各9個 穴の直径6mm/8mm/10mm
固定用テープ:各14枚 12mm×60mm/30mm×40mm

と、この1箱だけで鶏眼・胼胝治療に必要なもの全てそろっています。便利ですね。


4.まとめ

皮膚科で2時間ほど待ち時間があって、結局処方される可能性の高い”スピール膏”。かたや、ドラッグストアで気軽に購入できる”スピール膏”。ほかの病気で皮膚科に定期受診している方は、病院処方のものでよいかなと思います。鶏眼・胼胝だけなら、軽い症状なら市販薬でも十分かもしれません。

ただし、自己判断での治療はそもそも診断が間違っている可能性があるので、最初は皮膚科を受診して診断してもらったのち、市販薬で継続治療が望ましいかなと思います。

ちび
ちび

特に胼胝は放置しすぎると、”胼胝下潰瘍”といって、大きな傷ができて、それが原因で蜂窩織炎(ほうかしきえん)骨髄炎(こつずいえん)になってなかなか治らない人もいますよ。特に糖尿病の人はまぁ治りませんので早めにご相談くださいね。

なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。

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