私はもちろん日本皮膚科学会の会員ですし、何なら日本アレルギー学会の会員でもあります。学術大会もしっかり参加していますし、専門家中の専門家。それでも我が子のこととなると別! 焦る焦る…。普段の冷静な判断と豊富な知識は、緊急事態ではあっという間に飛んでいきます。そんな具体的なエピソードは過去の記事をご覧ください。
娘ちゃんは、1度目は園の給食のアジの竜田揚げ、2度目は自宅で冷凍アジフライの中身のほぐし身、2回とも蕁麻疹が出ました。さすがにアジでのアレルギーだろうと思っています。ヒスタミンによる反応の可能性はあるが2回とも出るのか? 同じ園の子どもたちも、誰か1人くらいは症状が出そうだけれど…?
というわけで、園の先生に、”アジがやはり怪しいです!”とお話ししたところ、園への提出書類をいくつかいただきました。
ちなみに私、これらの書類は、医者として何度か記入したことがあります! まさか娘ちゃんの分が必要となるとは…(-_-;)
これは、精査後に記入するものと、とりあえず何を除去すればよいのか記入するものの2種類がありました。ただ園によって多少様式は違うようです。記載してもらうためにはアレルギー専門医の受診が必要と言われたので、専門医の受診予約を取ったところまでの体験談をお話しします。
1.園での除去食
魚アレルギーは、どの魚と交差があるのか、まだイマイチわかっていないので、検査をして実際に食べて、大丈夫なら解除するのが一般的です。
離乳食後期食で出されていたサバやホキは問題ないとは思うのですが、ちゃんと小児科受診して方針を決めてからの方がいいかなと思いました。
何を除去するのかの書類は早く提出した方がいいので、かかりつけの小児科クリニックで除去食の書類だけ書いてもらいました。”当面の間は魚介類の除去…”になりました。園によると、例えば、メインがサバの塩焼きだったら、メイン料理そのものが出されないという対応だそうです。代替食が出るわけではないようです( ;∀;)。でも娘ちゃんは白ご飯をこよなく愛しているので、本人は何も思っていないかもしれません(笑)。
2.アレルギー専門医とは
”住んでいる地域×アレルギー”で検索するとたくさんのクリニックと病院が出てきます。中には開業した知り合いもヒットしましたが…自分の専門診療科のついでにアレルギー科も標榜しているだけというクリニックは非常に多い印象でした。
私も日本アレルギー学会の会員ですが、先輩方の話を伺うと、この専門医試験の突破は比較的簡単なようです。レポートを書いて、学会に参加して点数を集めて、講習会を受けて、テストを受けるだけです。医者が専門医を取るメリットは、開業した際に患者を集めやすいこと。逆にデメリットは、開業した際に、診療に時間がかかる割に診療報酬が少なめの患者が増えてしまうことです。なので、あえてアレルギーの専門医をとっていない皮膚科の先輩Drもいますね。
そんな事情を知っているからこそ、娘ちゃんはどこで受診すべきか悩んでしまいました。適当に採血・適当に結果を解釈されて、主治医と私の意見に相違があったらややこしいですし…。
というのも、特に魚アレルギーは解釈が難しく、解明されていない領域なんです。卵とか乳のアレルギーなら診療に慣れている医者も多いので、どの小児科クリニックでもいいんですけどね。
3.1歳児の採血可能な施設って?
実は、食物アレルギーの専門でかつ、1歳の採血ができる施設ってそんなにないです。ある程度の採血量なら肘窩の血管からの採血。子どもは暴れるので、バスタオルでぐるぐる巻きにしてベッドの上で数人で押さえて採血をします。基本的に小児科Drって小児の採血上手です。ただクリニックだとDrが診療で忙しいので、まずはNsが試みることが多いですよね。慣れていない医療機関だと、採血失敗されて何度も刺されたり…。
また、万が一アナフィラキシーになった際に、救急で受け入れてもらえるような病院が望ましいです。必然的に、24時間救急受け入れしていて、小児科当直(これ重要!)がいて、小児科病棟があって…という条件になります。
というわけで、大学病院の小児科を受診する予定となりました。私の外勤先から問い合わせてもらったところ、初診時に採血もできるとのことで一安心。恐らく”プリックテスト”や”食物負荷試験”も必要に応じてやってもらえそうです。こういう検査はたとえ自分が医者であっても、自宅ではなく医療設備が整った場所でやるべきです。
4.大学病院初診で予約は必要?
外勤先から娘ちゃんのカルテを開いて、自分で懇切丁寧に紹介状を作成しました(もちろん外勤先で受診扱いとし診察代500円支払っています)。外勤先から地域医療連携室を通して予約も取りました。2~3週間先の予約になりましたが、予約枠が決まっているので仕方ありません。
予約せずに、紹介状だけ持って飛び込みで受診することも可能ですが、その先生の予約診察がすべて終わってから、もしくはその合間の診察となりますので、かなり待ち時間が発生します。また、大学病院の医者の立場からしたら、紹介状ありとはいえ当日飛び込みの患者、しかも検査希望の1歳児(緊急性なし)、なんて迷惑ですからね。予習もできないし、検査の段取りもその場で取るので大変ですし。万が一”今日は採血できないから再診時に検査しましょう”、なんて言われたら、”今特に症状のない娘ちゃんを、わざわざ連れてくる意味ないじゃん!”と思ってしまいますよね。できるだけ効率的に進めるには予約をおススメします。ただし、予約していても1時間は待つことを覚悟しておいてください。
5.まとめ
食物アレルギー疑いとなると、園での書類や、小児科探しなどやることが一気に増えます。小児科探しは園の看護師さんに、”うちの園のアレルギーの子たちはどこで診てもらってるんですか?”と聞くと、見当をつけやすいです。
また、自宅での食べ物にも気を使います。医者として患者を診ていた時は、食物アレルギーの子どもを持つご両親はかなりまじめに除去や段階的な解除を実践してくれていました。確かに、1度でも我が子がかゆみや咳でかわいそうなことになった姿を目の当たりにしていると、二度と同じことは経験したくないという思いが強くなりますね。
大人の魚アレルギーは今のところ治らないとされています。娘ちゃんは小学校入学までに食べられるようになるのか、ドキドキです!
なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。
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