医者で大学院生というのは、いわゆる”社会人大学院生”で、大学の博士課程に入学して研究室に派遣され医学に関連する研究を行います。一般的には派遣元の会社から給料が満額出ることもあるそうですが、医者の場合、だれもお給料を保証してはくれません! いわゆる学部生の時の”授業とアルバイトの両立生活”のような感じになります。
私は、大学院1年目で妊娠出産を経験しました。大学院生は社会的立場が非常に不安定であり、不遇であることが本当に良く分かりました…(涙)。
いかに不遇なのか、下記のようにまとめてみました。後輩たちのためにも、今後少しでも改善されればと思います。
1.非常勤扱いになる。
大学病院は“週5時間勤務”の契約でした。時給1000円ちょっとです。もはや最低賃金です。当初は交通費も出ませんでした(今は改善されています)。医局からバイト先(市中病院やクリニックの外来診療)を斡旋されます。これが主な収入源です。私の地域は診療単価が低めなので、週2~3回はバイトします。それでは金銭的に足りないので、各自、当直バイトや日曜の外来バイトをしている人が多いです。もちろん福利厚生は一切ありません。
2.時間外手当はない。
バイト先で、外来1コマあたりの金額は固定のことが多いです。半日扱いと前日扱いで1万円ほど違ったりはしますが・・・。なので、極力時間超過しないように必死で早めに終わらせます。ただ、それが患者さんのためになっているのかは分かりません。私は土曜日のクリニックでの外来(午前診)は平均2時間ほど延長してしまいます。
3.ボーナスはない。
非常勤なので、そんな制度はありません。住宅ローンなどのボーナス払いなどは考えないようにしてください。
4.有給はない。
これが地味につらいです。病気になったらその瞬間、給料ゼロになります。多少体調悪くても無理して出勤しますね。もともと都合の悪い日だと、事前に医局のほかのDrと勤務日を交代してやりくりしたりします。
5.保険証が国民健康保険になる。
自分で自治体に保険料を納めます。特に大学院1年目は前年の収入が高い人が多いので上限額80万円近く納めることになります。事前にまとまったお金を貯金しておくことが必要です。病院勤務の時の硬い診察券から、ペラペラの診察券になると、なぜか少し物悲しくなります。
6.かろうじて大学勤務では産休がある。
出産予定日を医局の秘書さんに伝えると、産休期間の事務的な手続きをしてくれます。復帰するまでの間、外勤先はバイト係の医局の医師が、ほかの代理の医師を派遣してくれます。ただ、産休から復帰するまでの間は収入ゼロです。
7.育休はない。
少なくとも私の大学病院では、非常勤医師に対する育休制度はありません。大学の週1の勤務は休むと普通に欠勤扱いになるそうで、無理やり産後2ヶ月で重たい体を引きずって週1だけ勤務しました。私は産前休暇からあわせてバイトは半年ほどお休みしましたが、その間、給料はほぼゼロでした。
8.時間的な制約はない?
それは派遣される研究室の考え方によります。原則として研究を進めさえしていれば文句は言われません。特に基礎医学のラボでは、”日中バイトして夜に研究をしろ”、もしくは”日中に研究をして夜にバイトをしろ”、という感じです。やりたい研究テーマでないと、寸暇を惜しんで取り組むことは難しいです。なので前回も触れましたように、研究室の選定と研究内容をしっかり詰めることが重要です。
そんな不遇はたくさんありますが、”研究をして自分の仕事を論文化するのは医者人生の糧になるのではないか”と信じて前に進んでいます。
なにか皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
皮膚科Dr!ちびでした。
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